夭折の洋画家三岸好太郎
三岸好太郎(みぎしこうたろう)は1903~1934年、大正時代に「夭折(ようせつ)のモダニスト」として名を残した洋画家です。
31年の短い生涯でしたが、戦前のモダニズムにおける代表的な洋画家として「春陽会賞」を受賞しています。
後期には、シュルレアリスム(超現実主義)の影響を受けたと思われる作風の絵画を描いています。
「飛ぶ蝶」という作品がありますが、同じ時期に「蝶ト貝殻」という詩も作っています。
生きていれば、多彩な活躍をした人物だったでしょう。
夫人の三岸節子(みぎしせつこ)も同じく洋画家で、女流画家協会を創立した人です。
三岸節子記念美術館を開設、1951年に「第一回芸能選奨」を受賞、1986年に「勲三等宝冠章」を受章しています。
節子夫人の方は、94歳と長寿を全うしました。
北海道立三岸好太郎美術館には、節子夫人から三岸好太郎が描いた220点もの作品が寄贈されています。
八角形をした建物は北海道知事公館の庭園内にあり、木立に囲まれた美しい景色も美術館の見どころのひとつです。
冬には、館内から雪の上を走り回るエゾリスの姿も見られるとのことです。
美術館コンサート
北海道立三岸好太郎美術館の大きな特徴は、音楽を楽しめるというもので、コンサートやリサイタルを開催しています。
三岸好太郎の作品には、「オーケストラ」とタイトルのつけられた絵画もあり、音楽家との交流もあったということです。
館内でピアノやチェロなどの演奏を聞きながら、絵画鑑賞ができます。
作品を解説してくれるガイドがつく時間帯もあり、受付で希望すれば、一人で来館したとしても解説してもらえます。
三岸好太郎の絵画には、夢幻的な光景が描かれた作品も少なくないので、解説を聞くことでより理解が深まるのではないでしょうか。
美術館の喫茶コーナー
北海道立三岸好太郎美術館には、「きねずみ」という名の喫茶コーナーが併設しており、ここでコーヒーが飲めます。
三岸好太郎が描いた「飛ぶ蝶」という作品をモチーフにした、美術館オリジナルの焼き菓子などもあり、絵画を見た後で食事できます。
この美術館は子供達にも人気があるようですが、『おばけのマ~ル』という絵本が置いてあります。
シリーズ4作目の『おばけのマールとちいさなびじゅつかん』には、北海道立三岸好太郎美術館が登場しています。
絵本の中には、三岸好太郎の絵画も見られます。
マ~ルというのは、札幌の円山に住むおばけの子供で、マ~ルが友達を作りに街に降りてくる話です。
おばけの子供マ~ルの名前は、「円山(まるやま)」という地名からきています。
北海道立三岸好太郎美術館に寄らなくても、この喫茶コーナー「きねずみ」だけ利用することもできるので、お子さんとご一緒に立ち寄ってみてください。