北海道の盆踊りは子どもと大人の2部構成

夏のお祭りの象徴と言えば、盆踊りです。
それぞれの地域で特有の音楽や踊り方があり、祭りの際にする行事なども異なります。

その点、北海道にもこの地域独特の習慣があり、本州とは違って雰囲気で行われます。
それは、子ども盆踊りと呼ばれる子どもの部と、北海盆踊りと呼ばれる大人の部に分かれているのです。
これは北海道全域に見られる傾向で、はっきりと2部構成になっているケースがほとんどです。

北海道の盆踊りでは「北海盆唄」と呼ばれる音楽が使われることが多いですが、これは大人の部だけでかけられます。
もともとこの唄は、越後地方から移住してきて小樽に定住するようになった人たちが広めたものとされています。
そこから、少しずつ北海道の内陸方面に伝わっていきました。
その過程で、いわゆる大人向けの唄という形で盆踊りで使われることが多くなったのです。

この北海盆唄は戦後に演歌歌手によって歌われるようになり、日本全国で有名になります。
その後、国民的なテレビ番組となった「8時だョ!全員集合」でオープニングテーマとして使われことになり、より多くの人に親しまれました。
この唄を使って踊ることで、独特の北海道ならではの盆踊りが繰り広げられるのです。

炭坑節が時代と共に変化して現在に至る

北海盆唄は小樽から内陸部に伝わっていくうちに、炭坑節と呼ばれる炭鉱で働く労働者たちが特に好む唄へと変化していきます。
人々に歌い継がれていくうちに、それぞれのアレンジが加わっていくことで、それぞれの場所で異なる唄ができていることもありました。
そのうちに「べっちょ節」という形で炭坑節が変化して、盆踊りでも使われるようになってきます。

しかし、この唄の歌詞の表現や踊る際の動きには、卑猥なものがたくさん含まれていました。
こうしたこともあって、一度炭坑節をある程度継承しつつも、より健全な内容へと修正されました。
その変更されたものが「北海炭坑節」として発表され、その後元の名称でもある「北海唄」として定着します。

この炭坑節には卑猥な大人向けの表現が多かったことから、子どもたちはこの唄を使わないで別に踊うようになっていました。
そして、炭坑節が修正された時に一緒に子ども向けの唄として「子供盆おどり節」が発表され、子どもたちが大人とは違う部で躍るためのものとして勧められます。
この子供向けの修正版は北海道教育委員会によって作られています。

こうした歴史の流れがあって、大人と子どもが分かれて2部構成で盆踊りを楽しむようになっているのです。
単に別々に踊るというだけでなく、その唄も違いますし踊りの動作などにも違いが見られているのは、こうした経緯によるものなのです。